東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故から9年目に入ろうとしています。私たち避難者は今ここにいます、原発事故も原発避難も終わっていないという現状を皆さんに知っていただきたいと、今回の講演会を企画しました。
講師の高橋征仁山大教授は社会心理学のご専門から「なぜ避難者たちは沈黙するのかー避難者罪悪感と避難者バッシング」というテーマで話されました。政府が原発避難者とは誰かという定義すら行っていないために、被害の実態も明らかにされていません。政策的にも必要な支援が届くはずもなく、避難者は疲れ、避難という選択に罪悪感も抱えています。少数派の避難者が生き残るためには、悩みや不安を自由に話せる空間を広げていくことだと話されました。
避難移住者の会も毎月の交流会を、避難者が気兼ねなく話せる場としてとらえています。まだ参加されたことがない避難者の皆さま、ぜひ一度お出かけください。
もう一人の講師、森松明希子さんは郡山市から大阪市へ母子避難されています。昨年ジュネーブで開催された国連人権理事会で日本の原発避難者の人権擁護を訴えた方です。国際社会の基準から見れば、日本の原発避難者はIDP(Internally Disposed Person 国内避難民)に該当します。森松さんは「避難の権利」の確立を訴え、誰もが平等に命を大切にされる社会の実現のためには憲法をしっかりと学び、生活の中に活かしていくことが必要と訴えられました。
参加者は75名、30名を越える方々からアンケートの回答をいただき、そのほとんどがぎっしりと感想を書かれていたこともうれしいことでした。じっくり読ませていただき、今後の会の活動に活かしていきたいと思います。