「ひとりからできる心と身体のケア」

発生した能登地方の大地震のニュースに心を痛めています。被害の全容も今は不明ですが、被災されている多くの方々にお見舞い申し上げます。

テレビで繰り返し「東日本大震災を思い出してください」と呼びかけられています。311を経験した私たちですが、あの時のことをどうしても思い出し心がざわついたりしていませんか。岡山県に拠点を置く避難者支援団体「ほっと岡山」のはっとりいくよさんから届いた「 ひとりからできる心と身体のケア」の記事を以下に転載します。お役に立てば幸いです。
                                  
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大きな災害、特に地震災害で被災された方にむけた、心のケアをお伝えします。
----- 臨床心理士の方からのアドバイスです。
 
 ・東日本大震災などの経験で、このような大きな地震で当時を思い出してしまうのは無理のないこと。 思い出している人はあなただけではないので、そうなることを否定しすぎなくて大丈夫。
 
 ・今後の災害・被害の広がりなどのことを思うと不安も募るかもしれませんが、過去の経験から、普段から災害への備えをみなさんはされていると思います。例えまた災害を経験することがあったとしても、3.11の経験は必ず減災に役立つし、できる備えはしていることに自信を持って、過剰に心配し過ぎずに過ごしましょう。 
 
 ・心臓がバクバクしてしまうようなことがある方。それは交感神経が高まっているということ。 交感神経の高まりは危機に対して身を守ろうとしてしているということで、危険を感じている時には必要な反応。 「そうなってはいけない!」と思わずに、自分が自分を守ろうとしているのだと受け入れてみましょう。
 
 ・心理的に辛いなと思う時こそ、身体のケアを。呼吸を深めにとったり、温かい飲み物を取ってみたり、お子さんだったら撫でてあげたり、抱きしめてあげたり、一緒に歌を歌うなど声を出すことも効果的。 身体のケアが心のケアにもなります。
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 災害地や紛争地で使われる誰でもできる初期的な心のケアの方法をご紹介します。
 ※初期的なこころのケアは、大きな被災をしていなくても、なんとなく心がそわそわするといった方にも有効です。
また、311被災などで当時を思い出してつらい気持ちになっている方は、初期的なケアのみならず、下記の<中期的ケア>も適宜組み合わせてみてください。
 
 <初期的なこころのケア(誰でもできる)>
 1. バタフライポーズ 自分自身で自分の腕を抱えるように少し強めに抱っこする。自分が安心を一番感じられる強さ(大人も子供もできる対処で、これをしたかしなかったかで心の健康回復の予後にも違いが出たといわれています:このようにして壁にもたれかかって座るだけでも、何もしないでたっているよりは良いと言われます)
 2. 片方の手で、もう片方の手の指一本を包み込んで少し強めに圧迫する(指によってつかさどる感情が違うといわれています)。 やってみて自分が安心できる指を、安心できる強さで圧迫するとよいと思います。
 3. 子ども(大人も)が泣く場合、初期には怖かったエネルギーを泣いて発散できた方が予後がよいといわれています。避難所など、他の方への配慮もあると思いますが、むしろ初期には泣かせてあげてください。
 →同様に、ショックや不安のエネルギーは、ためないで出すのがよいといわれています。 大人も、怖い感情が体に残ったら、体をブンブン振るなどして(動物や猫が、ブルブルっとするああいう感じです)エネルギーを出すとよいといわれています。 
 4.あとは2人組になれれば、額と後頭部を誰かにてのひらで挟んでもらって、少し力を加えてもらう。 脳のその部分の血流を少なくすることで落ち着きを取り戻せます。 
 
 <中期的なケア> 揺れが落ち着いてきて、急な不安症状や災害的なことがなくなってきたら、下記が有効です(これはトラウマリジリアンス(トラウマと共に上手に過ごす)といって、トラウマの治療自体ではありませんが、有効です。
 1.お茶やヨガなど、何でもいいので自分がリラックスできるものを知っておいて、その時間を大切にする
 2. 絵を書いたり、何かを造形したり、自由に歌を歌ったり、うまくなくてもいいので、こころの表現活動ができるような自分が好きな何かをみつける。無理に、つらい思い出を表現しなくてよい、リラックスできるように何でも自由に好きに描く。 
 3.何か単純作業(裁縫とか編み物とか土いじりなど)でそれをしていると「落ち着く」ことができるものを自分で見つけておくと、不安でそわそわしたり、怖いことを思い出してしまったときに、あえてその単純作業をして集中することで落ち着きを取り戻せる、という方法も役立ちます。 
 
これらは、米国のEastern Mennonite University のStrategy for Trauma Awareness and Resilienceのプログラムで伝えられているものです。 
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転載ここまで

★ほっと岡山 

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