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『放射線像 放射能を可視化する』 ―見えないなら、見えるようにすればいい・・・

311福島原発事故

今はもう帰還困難区域となり立ち入ることはできませんが、何度も通った国道399号線からみえる阿武隈山地の四季折々の美しさは格別でした。避難後、何度か家の様子を見に村に戻りましたが、目に映る山も森も風景は以前と変わらないのに、心情的にはモノトーンの写真を見ているような気分でした。

「見えないなら、見えるようにすればいい・・・」 

本書『放射線像』の冒頭、飯舘村長泥地区からみえる緑豊かな阿武隈山地の風景と除染が進む川俣町山木屋地区の風景、二枚の写真にこの言葉が添えてあります。この山々も森もそこに住む野ネズミやカエルなど動物たちも、そして住民が避難し置き去りにされた軍手や洗濯ばさみなどの生活用品も2011年3月、4月とこの地域を覆ったプルームに酷く汚染されてしまいました。放射能汚染は目に見えず、空間線量や土壌汚染の数値からしか示されないのでなかなか実感されませんが、身の回りの汚染度がこのような形で目に見えたらどうでしょう。

本書中の南相馬市のエアコン・フィルター、つくば市の通気口フィルター、品川区の雨どいの写真を見れば、汚染は原発周辺の避難区域だけに限らず広く東日本全体に広がったことも容易に想像できるでしょう。

放射線像 放射能を可視化する

放射線像 放射能を可視化する

 

 著者の森敏東大名誉教授があとがきのなかでぞっとするエピソードを紹介しています。チェルノブイリ原発事故のあった1986年11月にフランスから輸入されたボジョレー・ヌーボーの汚染度計測したところ25万Bq/l もあって驚いた、仏政府も日本政府も知らぬふりをしてまったく警告を発しなかった。ヨーロッパではワインの放射能汚染は周知の事実だったので、遠い極東の放射能に鈍感なフランスかぶれの日本人が販売ターゲットになったのだろう。・・・今後も原発事故が起こる確率は100%、だからこそ放射能汚染がどのようなものか頭の中に収蔵しておかなくてはならないとも。

放射能を可視化する試みは、山口市にお住いの美澄博雅さんご夫妻も取り組んでおられます。311事故後、福島県や周辺地域に何度も足を運び、土壌、落ち葉などの測定や撮影を続けてこられました。作品は来週26日山口市の亀山公園で開催される「アースデイやまぐち」会場でもご覧いただけます。子どもたちの保養プログラムを実施している「福島~山口いのちの会」のブースにおいでください。

参考サイト:
放射能汚染の形態学  Radiation Fallout from Fukushima 
★福島の環境放射能 福島放射能実態6 郡山・都路・川内・福島・目で見る放射能

★福島~山口いのちの会 福島~山口いのちの会のブログ

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311以前の阿武隈山地